側彎症の疾患がある人の左肩の胸郭出口症候群

R4.1.30 30代女性 やせ型 (研修生の時の臨床日記)

 

症状

左の肩から腕にかけてしびれや痛みがある。外転動作のときがひどくなる。仕事でパソコンを使うことが多く、肩こり、首凝りも強い

 

診察

胸郭出口症候群は首から出て腕にかけて走行している神経の束腕神経叢が圧迫されることにより起こる症状です。やせ型の女性の場合は撫で肩の人が多いので、肩を下げる内転方向に動かした時に症状が出る肋鎖症候群の方が多いのですが、この方は側弯症という背骨が曲がっている疾患が元々あります。背骨のゆがみを肩甲骨で身体のバランスを取っている状態です。そのため左肩甲骨が大きく挙上しており、斜角筋症候群という斜角筋という筋で構成される斜角筋隙という通り道が狭くなることで痛みやしびれなどの症状が出ていました。

 

施術

肩首周り、背部の主要な筋肉を一通りほぐした後に左肩甲骨を回してみたが、今一動きが悪い。「これはどこか別の所に原因があるな」と思い探っていくと左前腕外側の伸筋群に肩首背部周辺の筋肉より強い筋緊張がありました。長時間パソコン作業をしていると手首を伸展させ続けた状態でキーボードを打つため、前腕伸筋群の筋肉の累積疲労が上腕、首、肩部にまで達して神経を筋肉が圧迫したことが原因だと思われる。左前腕伸筋伸ばすようにしっかり緩めてあげてから再び肩甲骨を回してあげると、動きがすごくスムーズになり「しびれがなくなり、痛みもほぼとれました」と言われました。

 

総論

 

この方は側彎症があるので肩背骨周辺の筋肉をゆるめれば、背骨がまっすぐに近づくので症状が緩和するとつい私も考えがちだが、必ずしもそうとは限らない。その人の身体のどこに一番負担がかかっているかを、その都度考えて施術することが大事ですね。