R6.9.25 コロナ後遺症による嗅覚障害 60代女性
主訴
2週間前にコロナに罹った。匂いがわからなくなり、食べ物の匂いもわからないので何を食べてもおいしくなく食欲がない。耳鼻科にいって薬を処方されたが、改善がみられないのでと来院された。
診断
コロナによる嗅覚障害は主に次の可能性があります。上記ほど改善しやすいですが,鍼灸にかかる前に必ず病院に行ってからにして下さい。
⓵呼吸性嗅覚障害
鼻づまりや鼻の粘膜が腫れて鼻道を塞ぎ、嗅細胞まで空気が通らなくて起こる。
粘膜の炎症を抑える施術や鼻を通りやすくする施術を行うとすぐに改善が見られることも多い。
⓶神経性嗅覚障害
嗅粘膜がウイルスによる炎症で傷つけられ、破壊されている。
炎症を抑えるだけでなく再生を阻害する因子を取り除いていき嗅粘膜の自然治癒力を高める。鼻の粘膜は外気にさらされている構造上のためか、阻害因子がなければ再生しやすく40日位で細胞が入れ替わる。
⓷中枢性嗅覚障害
ウイルスによる炎症で中枢の障害が残った場合、症状が長期にわたり改善しない場合もある。
治療方針
逆気があるのでまず扁桃処置、自律神経処置や副腎処置、篩骨洞の血流改善、体質改善の他、嗅神経である第一脳神経点をねらう。
治療内容
初回
復溜、尺沢、照海、ミルキング、鼻点、第一脳神経点、天注、風池、背1-1Kなど
2回目
3日後に来院。「少し良い気がする」とのこと。まだ逆気があったので前回とほぼ同様の施術を行った。
3回目
1週間後に来院。逆気がほぼ収まっていて、「半分くらい嗅覚が戻った」とのこと。改善があったので笑顔が見られ何より。鼻梁、迎香、印堂の下に向けての横刺など鼻周りのつぼのアプローチを増やす。
4回目
「6~7割良い」とのこと。逆気が収まったので体質改善の鍼灸を行う。胃の気3点処置、へそK、腰3-1K、腎兪などに施術した。
5~6回目
前回とほぼ同様の施術を行った
7回目
嗅覚がほぼ正常に戻る。他「以前はちょこちょこ下痢をしていましたが最近はなく身体の調子が良いです」と笑顔でおっしゃった。
(写真は7回目の施術後に撮影)